最近、顔見知りになったマンションの住人が、実はモールトン乗りだとわかり、さっそく多摩湖へポタリング。
東京タワーを跨いで小さなホイールをくっつけたようなミニベロ、モールトン。自転車乗りの中では目を引く名車だ。
ミニベロといっても走りはロードと変わらない。多摩湖ぐらいのポタリングは快適そのものだ。
住人の名はミスター・モールトンと銘々された。今後アンカーを買っても、コルナゴに乗っても、ミスターモールトン。
ミスターと堤防で軽い朝食。コーヒーを飲みながら自転車と奥さんの話に花が咲く。
帰路、ミスターのモールトンに異変が起こる。前輪のタイヤがたんこぶのように膨れはじめた。走りながらどんどん成長する。奥様の呪いか…
「やばい!」と叫ぶミスター。
直後に銃声のような鋭い破裂音が、パーン!と団地通りに響く。パンクだ。タイヤの繊維がさけ、チューブがはみ出てしまった。
ミスターはうろたえることなく、モールトンをあっというまにまっぷたつに分解し、タクシーを止め、トランクに積みこむ。目をみはる運転手。
「お先!」と言って、何ごともなかったように帰っていった。おそるべしミスター。
また行きましょう!ミスター・モールトン!