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Archive for 2012年6月

殺風景だったベランダを見て、奥さんが思い立った。

プランターに種を埋め、ぶら下がりタイプのテラコッタに花を植えた。

いままで室内に置いてあったサボテンも表に出した。風呂場にぴったりの観葉植物もベランダに並べた。

太陽がたっぷりあたる。
植物も嬉しそうだ。

我が家のいきものがかりの担当表。

ママ→植物
息子くん→カメ
パパ→水槽

とくに息子くんのカメ好きには驚く。まるで犬や猫を可愛がるようにカメの世話をする。この前は部屋の中で散歩をさせていた。

いきものが多いと、毎日がおもしろい。何が起こるわからない。

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20120617-午前105315.jpg

霧雨が残る朝の石神井公園。

今朝も息子くんは寸暇を惜しんでぼそ釣りに。

釣り人はちらほら。
濡れた路面をジョギングしている人。
散歩するおばあさん。

コガモが水面を滑り、水に潜り魚を捕っている。
亀は水中から飛び出た木によじ登り、頭を上げてこうら干し。

さっそくぼそが二匹釣れた。

雨の中、ギターを練習してる男の子がいる。
特定の音程になると声が裏がえってしまう。
何度も同じフレーズを練習している。

そうそう。

ボート池の向こうの釣り餌屋さんは5月末で閉店したそうだ。

これから餌をどこで手に入れようかと、息子くん思案中。

まあ、いろいろ考えてください。釣りは準備が楽しいんです。

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20120611-午後104652.jpg

マンション仲間のゆーすけがあきれた顔でつぶやいた。

「うちのゆーはだめかもしんない。向いてないのかなあ、サッカー」

駐輪場でディレイラーの微調整をしながら、ゆーすけはしゃべりはじめた。

「なんか、あいつだけとろいんですよ。他の子がボールを追いかけてるときに、指を見てたり、頭を掻いてたり」
「2年でしょ。まだ始めたばっかじゃん」

読みかけの本を持ちながら、おれは答えた。

部屋にいるとややこしい仕事を頼まれそうだったので、本を貸す振りをして駐輪場に下りてきた。息子くんはすでにママに捕まり、亀の水槽の掃除をさせられていた。

「なんか、てれんこてれんこしてるんだよねー。俊敏さに欠けるって言うか」
「まだわかんないよ。子供なんて半年で別人だよ」
「そうかなー。そうだといいなあ」

ゆーすけは、アスリートとしての少年時代を過ごしてきた。少年野球の投手として活躍し、高校は甲子園で優勝するようなチームで何番手かの投手だった。あまりにもキツい練習に耐えすぎて、今ではすっかり野球に関心がないという。

「おれ、自分が運動得意だったから、苦手ってよくわかんないんだよね」
「でもスイミングは続いているんでしょ?」
「うーん。泳ぐのは好きみたい。ななちゃんが行くから一緒に行ってるのかな…」

ななちゃんはゆーの妹で保育園の年長さんだ。兄妹でも性格がずいぶん違う。どちらかというと運動が得意な活発タイプ。保育園でもサッカーを習ってるらしい。さっきまで駐輪場で自転車を乗り回していた。

「あおくんとか、しょーくんはどうだった?」
「まじめにサッカーやるようになったのなんて最近だよ。2年の頃は遊んでるのと変わらなかったな」

ななちゃんが飽きていたずらを始めた。ゆーすけの取り外したホイールをべたべた触り、油で手が真っ黒だ。

「あっ、蚊がでたー」

ななちゃんがほっぺたをパチンと叩いた。まっしろなほほが黒い油で汚れた。

「あああ、ななちゃん。ママに怒られるよ…」

ゆーすけが急に女の子のパパに戻った。

○ ○ ○

湿度が上がり、週末には梅雨入りしてしまった。土曜日は一日雨。日曜日の今日は、午前は晴れ、夕方から雨との予報。

ゆーすけから携帯にメールが届いた。

「一応ご連絡。例の所でしらかばSC試合しております」

しらかばSCとはゆーの入っているサッカークラブ。しらかば保育園の卒園生によるジュニアチームだ。

例の所とは、しらかばSCがいつも練習試合をやる近所の養護学校のグランド。小さいけれど人工芝のいいグランドだ。

すぐに返信した。

「行きます」

ゆーすけがあきれる《てれんこ》が見たくて、ママチャリで出かけていった。

日差しは梅雨を通り越して夏だ。人工芝が熱を吸い、歩くだけで汗をかく。

ピッチの上では黄色のユニのしらかばと、青いユニのWFCがゲームをしていた。2年生にしては巧い子が多かった。《てれんこ》はベンチの前に座っていた。

ゆーすけが遠くから見つけて手を振ってくれた。

「出てないの?」
「たぶん、つぎ出る」
「楽しみだね」
「今日は朝、ゆーと約束した。試合中は指をいじらないって」

笑いながらピッチを見た。試合が終わった。少しの休憩をはさんで二本目がはじまる。

「出てきたね」
「そうすね」

ゆーは近眼の目をサポートするためスポーツ眼鏡をつけている。かつてのオランダのダービッツみたいだ。ホイッスルが鳴った。

見事なまでのお団子サッカーだ。2年生らしい楽しいボールの奪い合い。激しくボールを奪い合う野獣のようなこども。その後を追いかける狩猟犬たち。

ゆーはのんびりとした表情で仲間とボールの行方を追っている。古いアメリカ映画に出てくる結婚式のシーンで、新郎新婦が乗るオープンカーに引きづられる空き缶のようだ。お団子がピッチを移動するにつれてあとを付いていく。

ときどき、たまたまボールが自分の足に当たると蹴ってみる。ドリブルでボールを運ぶというより、触れて嬉しいという表情だ。

アスリートのパパには不満なプレイかもしれない。ゆーすけはよこで憮然とした表情だ。

ほとんどボールと試合に関与しないままゲームは進む。ゆーはときおり足を止め、指を見ようとするが、すぐ止めてまたボールを追いかける。けなげだ。

試合が止まると、シャツに手を突っ込み、背中やお腹をかいている。サッカーをするとじんましんがでる体質なのだろうか、しきりにぼりぼりやっている。

見ていておかしかった。

《てれんこ》

実の父親だけに、すごい観察力だな。

あおもクラブチームに入ったとき、試合に飽きると爪を噛んでいた。2年生の夏だった。集中度がそれで判定できた。あの頃はあいつも《てれんこ》だった。

いつのまにかその癖もなくなってしまった。

味方がゴールを決めた。

飽きてまたぼりぼりやるかなと見ていたら、仲間と笑いながら喜びを分かちあっていた。きらいじゃないようだ。チームも、サッカーも。

しらかばSCのコーチは、少ない言葉をタイミングよく子供たちにかけていた。いいプレイはしっかりほめ、悪いプレイは疑問型の質問で、こどもたちに考えるきっかけを作っていた。おだやかで、どなることなく、ふつうに子供たちに語りかけていた。

「いいコーチだね」
「でしょ。ゆーも好きらしい」

ゆーの笑顔が目立つ。白い歯を見せて笑っている。

試合中こちらを見た。ゆーすけ以外にも、おれが来ているのを見つけると、大きく手を振った。嬉しそうだ。

試合がリスタートする。

さっきまでの走りと見違えるほど、一生懸命ボールを追い始めた。

「できるじゃん」

おれは、ゆーすけをのぞきこみながら言った。

「意識してるね」

ゆーすけも少し嬉しそうだ。ゆーは仲間からボールを奪うほど、がんばってくれた。

たぶんまだサッカーのことを考えたことがないんだと思う。仲良しの友達とボールゲームをしている気分。敵も味方もない牧歌的な世界だ。

ゆーは本当に嬉しそうにサッカーを楽しんでいた。2年生ならそれだけで十分だ。まずは仲間とサッカーを楽しむこと。巧いとか下手とかは、まだまだ先のことでいい。

頭のいい子だから、ある日急に変わる。パパがアスリートだったように、近い将来、変身する日が来る。パパの驚く顔が楽しみだ。

そのときまでサッカーを満喫してほしい。今しかできない楽しみ方《てれんこ》だから。

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20120605-午後083828.jpg

荒川河川敷のグラウンドを土手の上から眺める。所々禿げた緑の芝。大雑把に引かれた白線。8人制のピッチがつなげられたドミノのように縦横3面に並ぶ。その中を小さな選手たちが所狭しとボールを追いかけている。

遠目から見る赤いユニは2チーム。同じ赤でもTorerosの赤はすぐわかる。

土手を降りてグラウンドへ向かう。コーナーフラッグが風にそよぐ。心地よい初夏の風だ。

前半を終えた子供たちは、芝生に座りコーチと話をしている。

ベンチの後ろで見学をしていた保護者仲間が手を振ってくれた。

小さく腰の上で手を振り返すが、なんとなく合流するのがもったいなくて、ゴール裏にジーンズのまま腰を下ろした。

まぶしい太陽が繁茂した草を照らす。若葉の新鮮な匂いがする。座ってみてはじめて気づいた。子供の目の高さでグラウンドを見渡すと、一面白い花の世界だ。

クローバー。

無理して来てよかった。
さっきまで仕事で伊豆にいたのだ。

午前のトレーニングマッチと聞いていたので半分諦めていた。たまたま早く宿を出ることができ、電車の乗り合わせもよく、三島でもホームに上がるとすぐこだまが来た。

googleで調べると10時半には着けそうだ。現地の奥さんにメールする。

選手が出てきた。

後半が始まる。

息子くんは左サイドバックにいた。

よかった。
試合に出られたんだ。

あいつなりにスタメンへの意志は強い。巧い子がどんどん入ってくるので、自分なりの武器と特徴を出さないと、なかなか試合に出られない。

守備をしっかりすること。フィジカルコンタクトを厭わないこと。ボールを奪ったら勇気を出して前に動かし、仲間につなぐ。チャンスがあったらアーリークロスやミドルシュートを狙うこと。堅実さと激しさと意外性。そして悔し泣き。

それにしてもみんな成長したな。

かっちんは小さい身体であたり負けしないようにがんばってるし、くろだって迷いのトンネルをもう少しで抜けそうだ。よーへーはプレイも指示もU10の背骨になった。

ハトマークの予選に勝てなかったのは悔しいけど、チームとしての形ができつつある。コーチもこどもたちの特徴をよく見抜き、忍耐強く育ててくれている。

もう少し。
このまま静かに見守ろう。
この子たちは必ずいいチームになる。

バックパスばかりで逃げていた子が、今日は前を向こうと何度もターンしてはボールを取られてる。囲まれて慌ててボカン蹴りをした子が、今日は仲間が来るまで体を張ってボールを守る。

よく見ていないと見過ごしてしまいそうな小さな変化だ。

どんどんチャレンジすればいいと大人は言う。でもピッチの子供たちからすれば人生をかけた挑戦なんだろう。判断し、決断し、責任をしょってプレイすることは。

その緊迫感を愉しんでほしい。

コーチに怒られるからとかじゃなくて、ゴールするため、試合に勝つための自発的な決意は、グランドに咲くクローバーのように地味だけど、可憐で、せつないほど美しい。

何度も失敗していいよ。

きみたちの憧れのコーチも、子供の頃は何度も失敗して強くなったんだから。

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