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Archive for 2012年3月

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家に帰ると息子くんが泣いていた。これから墓を作るという。よくわからないままマンションの駐車場へと向かった。

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仕事で遅くなったママと留守番をしていた息子くんがマンションの前で落ち合う。歩道に大きなひきがえるが座っていたのをママが見つける。

気温17度。
暖かい日だ。

生き物の好きな息子くんが近づくと、それまで置物のように動かなかったかえるくんが、急にぴくりと動き始める。捕まえようと一歩出ると、そのまま車道に飛び出した。

あっと思うまもなく、車が通り過ぎ、かえるくんはタイヤに踏みつぶされた。後続の数台の車にもひかれ、かえるくんの姿は輪郭をとどめるだけとなった。

号泣する息子くん。自分が代わりにひかれればよかったと大声で泣いたそうだ。

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シャベルで土を掘り起こしながら鼻をすすっている。

息子くんには死骸を見せないように袋で覆い、土のなかに寝かせて、柔らかく土をかぶせた。

部屋に戻り遅い晩ご飯を食べた。息子くんは食欲がないとごはんも少な目だった。

まるで友達が死んでしまったようなショックだ。あいつにとっては、生き物はみんな友達なんだろうな。死骸をみても、気持ち悪いとか、グロいとかではなく、喪失感の方がでかいのだ。

幼少期から出会った数知れずの生き物たちのおかげで、息子くんの心に人間らしい感情が育まれたのだろう。

かえるくんの小さないのちも、息子くんのいのちも、存在の深い闇の中ではつながっている。庭の離れたところで花を咲かせるどくだみが、地面のなかでつながっているように。

息子くんは、そのいのちが引き千切られる痛みを、体験としてはじめて実感したのだ。

「今日は早く寝なさい」

ママにうながされて布団に入る息子くん。

くりりんの森から蛙の声が聞こえてくる。春はもうすぐだ。

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