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Archive for 2008年9月

保育園の卒園旅行で男の子を持つお母さんから、小学校卒業までに3回は大きな怪我をするよと言われました。縫うような傷や骨折などです。

そーだろーなあと、こどもたちの遊び方、暴れ方を見ながら納得してましたが、先週末とうとう蒼がやってしまいました。

9/20(土)の昼過ぎ、家族3人自転車で吉祥寺までの道を走っていたところ、上石神井体育館の近くで蒼が転倒し、民家の塀に顔をぶつけ、下唇の内側をひどく裂傷してしまったのです。(写真はイメージです)

ふだん痛みには強い泣かない蒼がえんえん泣いて、口からは血糊のようにどぼどぼあふれてました。口の中を見ると、真っ赤な血だまりのなかに、白い歯が見え、何本か折れてるのかな…と親もおろおろ。我が子のはじめて遭遇する大怪我に、必死に気持ちを落ち着かせながら、つぎに何をすべきか考えていました。

すると、たまたま通りかかったジョギング中の男性の方が蒼の前に座り込み、ちょっと見せてくださいと蒼のほほを触るのです。一体何が起こったのか、ダブルのパニックに石化した両親。男性は、人差し指を出して蒼の目の動きを調べ、口の中をのぞき、右手左手交互に握手しています。

「僕、口腔外科の専門医なんです。」

男性は落ち着いて言いました。

「いま休み時間ですが、2時半から診療が始まるので救急外来で病院来てください。ここから歩いて2~3分のところです」

信じられないような偶然に驚きながらも、病院名と所在地、先生のお名前を聞いて、すぐに向かいました。歩きながら蒼はイタイイタイと泣いていましたが、自分の足でちゃんと病院へと歩いていきました。

病院は歯科。ジョギング先生はすでに診療着に着替え、救急の準備をして待っていてくださいました。診察室に入ると、不安げな蒼をイスに寝かせ、泣かないように勇気付けながら診察をしてくれました。

裂傷の状況、出血箇所を確認し、レントゲンで歯の状態(前歯下の永久歯がほんの少しかけました)を見ながら、軽傷であるとのこと。唇に麻酔注射を打ち、切れた唇を釣り針のような針とペンチをもって3針縫いました。蒼はその間、じっと耐えてまったく泣きませんでした。

怪我をしてから30分以内にはすべての治療が終わり、おそらく最良の処置ができたと思います。先生も自分で「巧く縫えた」と言ってました。

この数時間に医療行為の本質を見せていただいた気がします。蒼の怪我に遭遇したときの先生の振る舞いと表情。高いレベルで訓練された的確さ。こどもを不安から救い出すためのやさしい話し振り。適切な治療。

僕らは、ふだん気づきませんが、実はすばらしいセーフティーネットの上で生活をしているのです。高信頼度の社会、それはあらゆる分野で名もなきプロの方々がそれぞれの仕事場で真剣に仕事をすることで実現している。

大変な週末となりましたが、それにしても蒼の悪運の強さにおどろき。こいつの守護神はいったい誰なんでしょうか?

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Daniel Johnstonというのが名前。躁うつ病。ほとんど太ったキチガイ。ピアノはめちゃくちゃ、ギターも支離滅裂。でも彼の音楽は、誰が何と言おうとサイコーにかっこいい。

たまたまオルタナ系のミュージシャン達が彼の曲をトリビュートしたCDを借りて結構いいじゃんと思ってた。もちろんそん時は、Daniel Johnstonのことなんか全然知らなかった。売れない幸薄いミュージシャンの一人だろうなって認識。

ところが、実は彼はいわゆる「紙一重」の人らしく、躁うつ病で入退院を繰り返し、まともな社会生活が送れてなかったらしい。自宅でピアノかギター、鍵盤ハーモニカをかき鳴らして歌を録音し、カセットをいろんな人に送っていた。あきらかに正気ではない人なんだけど、音楽が信じられないほどピュアで、背筋が凍るほど美しい。

ビートルズとジョンレノンが好きなんだろうけど、ジョンの魂が彼のなかで純粋培養されたような、そんな気がした。

音楽って何だろう?ロックって何だろう?

音楽を娯楽として聴いている人にはなかなか理解されないだろうけど、生活のなかで一瞬でも真剣に音楽のことを考えたことのある人なら、きっとDaniel Johnstonの素晴らしさがわかると思う。

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週末を利用して保育園の卒園旅行に行ってきました。秩父のレジャー農園でマスの掴み取り、ぶどう狩りです。参加家族は16世帯ぐらいでしょうか。ほとんどがパパ&ママ、兄弟参加。あまりのにぎやかさ、子どもたちの元気さ(うるささ)に頭痛がするほど。

風邪を引いて発熱してた子どもも多数いましたが、この旅行を何ヶ月も前から楽しみにしていたので、熱さましや座薬をしてまで参加するほど。体温38度の子が、朦朧としながら池に入り、マスをつかんでいました。

今年のたけのこ組(年長クラス)は、本当に気持ちの良い家庭が多く、子どもを寝かしつけた後の飲み会も大変もりあがりました。来年にはそれぞれの小学校に行ってしまうので、このように集まれるのは最初で最後の機会なんだろうなあ。

こどもを育てる楽しみを満喫した旅行になりました。

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ParisからTGVで2時間、ブルターニュ地方にVannes(ヴァンヌ)という小さな港町がある。旧市街の美しい、中世の雰囲気を色濃く残した古都。Villa Kerasy(ヴィラケラジー)はその町にあるプチホテルだ。

結婚してまだ子供が生まれる前、奥さんが雑誌Figaro Japonの旅行特集を読んでいたら、4つ星のペンションとして紹介されていた。たまたまその年の暮れなんとなく旅行がしたくなり、2000年~2001年に世紀が変わるところをフランスで過ごすのもいいかなとメールをいれてみた。

翌日にはオーナーさんから返事が届き、迷っているのならぜひいらっしゃいとのこと。おもしろいお誘いの仕方だなと思いつつ、好感の持てる文面にピンと来て予約をお願いすることにした。

はじめて訪れるフランスは刺激的で、美しく、期待通りの国だった。もちろんフランス語はまったく話せなかったので、中学生レベル(それ以下?)の英語で、Montparnasse(モンパルナス駅)の窓口でTGVの切符を手に入れVannesに向かった。

Villa KerasyはVannes駅から徒歩5分。到着したのが夕暮れであたりが暗くなっていたので少し迷ったが無事到着。ドアを開けてbonjourと挨拶したのが、僕のはじめてのフランス語体験だった。オーナーさんは非常に気さくな方で、僕らをアットホームに歓迎してくれた。

お部屋に通されてまた驚いた。ものすごくセンスがいいのだ。調度品もインテリアも完璧。ベッドにかけられていた真っ赤な毛布が部屋の色のアクセントになり、オーナーさんの感性のよさがよくわかる。

その日は、そのままのんびりと部屋で過ごしたが、翌日からのVannesで過ごした二日間が、その後の僕の人生にささやかな軌道修正を与えることになる。

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育児の諸先輩方がいるなかで、このテーマについて書くのは少し恥ずかしい気もしますが、大事なことなので記録しておきます。

今朝、仕事の出掛けに子どもを叱りました。玄関を出ようと靴を履いたときに部屋の奥から会話が聞こえてきました。

「…もう、ママはできないからね。自分でしなさい!」
「わかったよぉー。もう」

ふてくされたような蒼の口調に、僕の中でスイッチが入りました。履いていた靴を脱ぐと部屋に戻り、蒼の前に立って彼を見下ろしながらいいました。

「誰に向かって言ったんだ?」
「…ママ」
「目上の人に向かって、あんなこと言っていいのか?」
「………」
「わかりました、だろ。言葉遣いに気をつけなさい」
「…はい」

言い終わって玄関に向かい靴を履きなおすと、涙をいっぱい浮かべた蒼が部屋の奥からこちらを見ていました。本人も悪気がないのはわかっています。でも、なぜか「ここは大事なところだ!」という直感が働き、あえて厳しく叱りました。

通勤の自転車をこぎながらも、彼の表情が頭から離れませんでした。子どもを叱るのも難しいし、叱られた子を見るのも本当につらく、せつない。でもこれは親になった僕の義務だと。

◇ ◇ ◇

子どもが生まれるまでは、なんでも理屈と機能が大事だと心のどこかで思っておりました。人に何かをさせたいときはその理由をしっかり説明し、説得すると。しかし、こどもにはそんなもの、何の役にも立ちません。実際に、奥さんが妊娠し、出産し、わが子を手に抱くとうろたえました。いったいどういう風に育てればいいのだ?

生まれたばかりの子どもを病院に見に行くとき、僕の人生の師匠にあたる絵本の編集者さんに来ていただきました。病院からの帰り目白の中華料理屋によってビールを飲みながら話していたとき、唐突に彼が言うのです。

「杉江くん、日本人はね、歴史的に育児はしっかりとできるから、安心して育てなさい」

笑顔でポンと肩を叩かれたようなそのアドバイスに感謝しながらも、実は正直よく意味がわからなかったのですが、今こうして育児生活をしていると、いろんな場面でこの言葉が響いてきます。

子どもの叱り方にルールも模範解答もないと気づきました。自分が育てられたようにすればよい。どう育てられたか、本人が忘れていても、体がちゃんと覚えている。だから今朝、スイッチが入ったのに気づいたんだろうな。

自分の直感を信じること
自信を持ってしっかりと厳しく叱る
理屈ではない

昔の人はえらかった。地域のおじいさんが他人の子どもをがんがん叱っていた。叱られた子の理屈なんかお構いなし。人々の常識をそのまま、純度100%でこどもにぶつけていた。大きな雷を落とした後は、けろっと忘れてまた可愛がる。(…んで、子どもはまたおなじ悪さをするんだけどね)

この絵本「おふろやさん」にはその頃の風景が描かれています。育児中の僕らにも学ぶべきことがたくさんあります。

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