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Archive for 2013年7月

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その瞬間、TKIくんは太鼓を持ったままゴール裏を走りまわっていた。すでに太鼓をひとつぶち壊しているが、気に留めもせず、ピーキーな甲高い裏声で絶叫し、太鼓を乱打していた。

最前列には重鎮、口ハドさんと蒲鉾屋が白眼をむいて、タオルを振り回し、夜空高く掲げ、跳ねながら雄叫びをあげていた。

見知った顔も知らない顔も、旧知の親友のように握手をし、ハイタッチをし、抱き合い、咆哮していた。

ゴールの中には白いユニの選手が二人寝転がっていて、そばにボールが転がっていた。間違いなくインゴールだ。

アディショナルタイムは終わりかけ、このスローインが最後のワンプレイになるはずだった。

田仲智紀27がボールを受けると、ワンタッチでボールを相手から遠ざけ、ペナルティエリアに切り込んできた。無難なプレイを予想していたおれらは度肝を抜かれた。町田ゼルビアの胸ぐらを掴んで、背中ごと壁に押し付け、睨みつけるような、そんな凶暴なドリブルだ。

ラインギリギリまでえぐってきた田仲は、相手が怯えて、堪えきれずマークを剥がした瞬間、ゴール前にボールを浮かせた。

そこから記憶がない。

真っ白な感情が爆発し、ただただ喜びに包まれていた。

雨はもう止んでいて、西が丘サッカー場のピッチが照明に白くぼんやりと照らされていた。電光掲示板には、東京23の下に<1>という文字が輝いていた。

間も無くホイッスルがなり、この日二度目の喜びの大波が押し寄せてきた。西が丘が真っ白な多幸感に包まれた。みんなの笑顔がきらきら輝いていた。選手もスタッフもサポーターも、全員がひとつになって闘い抜いた。

おれらはとうとうあの町田ゼルビアを倒した!
おれらは奇跡を目の当たりにした。

あと二つ。
夢の扉を開けるには三つの鍵が必要だ。
一つ目の鍵は町田が持っていた。
二つ目の鍵は日体大が持っている。
三つ目の、最後の鍵はおそらく横河武蔵野だ。

なあ、みんな。
フットボールの奇跡が見たいんだったら、グランドへ来いよ。テレビでユナイテッドなんか見てる場合じゃないぜ。

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movie by Sato

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素敵なプロポーズ!いい仲間たちに囲まれて幸せです。

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宿敵エリースに勝ったからでなく
大量得点をしたからでなく

選手の一人一人が
自分のやるべき仕事を考え続け

湿度の高い悪条件のなか
ボールに挑みかかり

相手とのポジション取りで
身体をぶつけ合い

先にボールに触り

スペースを見つけ
仲間を探して
果敢にチャレンジし、チャンスを作り

仲間のミスをみんなでカバーし
割られそうなゴールを蹴り出し
全員でゴールを決める。

選手の好プレイひとつひとつに
ゴールネットが揺れる度に
スタンドの目つきは23色に染まっていく。

席に座ってられない子供や大人が
声出し隊の近くにやってきて

握手を求め
歌を歌い
旗を振り
手を叩く。

ナイトゲームという非日常感や
冷たいビールや美味しいフードも
あったけど

今夜最後までスタンドにいた人たちは
選手たちのプレイに酔いしれ、味わい、満喫していた。

本当に素晴らしかった。

こういう試合を続けてれば

いつか江戸陸が真っ白に染まり
西葛西の駅からスタジアムまでの遊歩道に白赤のフラッグが立ち並び
スタジアムが満員になる。

そのために
次の試合が大事。
これを続けることが大事。

今夜はありがとうございました。
最高のゲームを愉しませていただきました!

TOKYO PRIDE TOKYO 23

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人工芝の緑のピッチを直射日光が炙り焼く。ボールと一緒に走る子どもたちは、フライパンの上の炒り豆だ。心なしか首の後ろが珈琲色になってきた。

梅雨明けした関東を猛暑が襲う。

気温は35度。但し日陰限定の観測温度だ。ピッチの上の体感温度は40度を超えてるはず。

スパイクの底から熱が足の裏を伝って、身体にたまりこむ。湿度をたっぷり含んだ空気は容易に汗の蒸発を許さない。小さな身体に熱がたまり、意識もだるくなる。

トレーニングマッチの相手は埼玉の強豪クラブだ。大人のような規律を子どもたちに要求する厳しく訓練されたチームだ。

ダミ声のコーチは、試合が始まってからずっと大声を上げている。ヘビースモーカーが火の着いたタバコを手放さないように、延々と切れ目なく子どもたちに声をかけている。

鳥頭のパパたちは、日陰を見つけて折りたたみチェアを並べた。生暖かい五つの眼差しが、鳥頭くんたちを見守る。

彼らがあの訓練されたチームとどう戦うのだろうか?興味津々だ。

ダミ声コーチは不愉快な罵声はあげない。ただやたら難しい専門用語で子どもたちに指示をする。

「スライド!スライドだよ、あんだけ練習しただろう。なぜできない?」

鳥頭のパパたちがひそひそ話す。

「スライドって、なんすか?」
「たぶん横にずらすんでしょう?」
「ずらすってマークを?」
「マークずらしちゃマズイっしょw」

ダミ声は続く。

「そこディレイ。落として逆サイド。そうっ!OK!」

強豪キッズは声の通りボールを動かす。

鳥頭パパはつぶやく。

「音声認識のウイイレみたいだな。よくできるね。あれルール決めてんの?凄いわこの子たち」
「中学生みたいなサッカーだな。楽しいのかな?この子たち?」

連携が上手くいかずボールを失うと途端に、

「何で話しない?もっとしゃべれよ!コミュニケーションとれよ!お互い話せよ!わかるだろ?けんご?」

パパスがつぶやく。

「コーチが喋りすぎで、話す隙間ないじゃん」
「あんだけ被せられたら、聞くので精一杯だよな」

20分ハーフ、ダミ声コーチはずっと指示を与え続け、子どもたちは律儀に彼の脳内戦術を再現した。

後半が始まる。

疲労のためか、鳥頭くんたちは自分の持ち場と役割を守るのに必死で、仲間との距離感を掴めない。

中盤に危険な空き地ができて、いいように侵入され、連続失点した。

前線が体力を振り絞りチェイスするものの仲間との距離は広がり、投網の網目が縮まることはない。魚はするする逃げていく。

こちらのゴールキックになった。
よしコーチが叫ぶ。

「ラインを上げよう!」

三人のディフェンスは無反応だ。チーム鳥頭に変化はない。

キーパーのれあるがゴールキックしようとするのを静止して、よしコーチが叫ぶ。

「よーへー、だからラインをあげろって!」

よーへーはポカンとしてる。

れあるは早くボールを入れたそうで、蹴る振りをする。

「れある!待て!ライン上げろ!ライン上げさせろ!」

れあるが地面に何かを探す素振りをした。

鳥頭パパたちは色めく。

「れある、まさか〈ライン〉探してるのか?」
「あいつ、ディフェンスラインって、白線で描いてあると思ったのか?」
「やっぱおれたちの鳥頭だ!」
「ホッとしたよ」

よしコーチの説得でなんとか理解できたのか、鳥頭は最終ラインを押し上げることができた。

「こいつら練習もいいけど、もっと本物見ないとダメだなあ」
「試合の中の駆け引きや、常識がまったくわかってないんだな」
「まあ、おれらの子供だしな。〈スライド〉はまだ早いな」

五つの苦笑いがゴール裏にきれいに一線に並んだ。

鳥頭くんたちがサッカーの秘密に気づく日は来るのだろうか?

ある日それを発見して、パパスに熱く語ってくれるのだろうか?

コンパクトとか、スライドを仲間同士で話し合う日を心待ちにしてるぜ。

できればコーチに教わるのでなく、自分で見つけ出してほしい。

そんで、パパスたちにこっそり教えてくれ。

おれらもよくわからないんだ。

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