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自転車

檜原村ポイント賞

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新しいヒルクラ仲間を紹介しよう。
ひごっちとたかゆきだ。

ひごっちは佐渡、乗鞍といつもの輪行メンバーだが、たかゆきはゆーすけのお友達で、最近ロードにはまりまくっている。ふたりとも普段は荒川サイクリングロードを走るサイクリストだが、今回はわれわれのヒルクラにつきあうため遠征してくれた。

今月の乗鞍に向けて坂耐性をつけようと、今日も奥多摩都民の森まで檜原街道を走る。

武蔵五日市で二人に合流し、自転車を組み出発。先月に比べて暑い。走り始めてすぐジャージに汗がほとばしる。

檜原村役場を過ぎて左に曲がると、ひごっちとゆーすけが鼻息荒く競り始める。ふたりは顔にこそ出さないが、実は相当なライバル関係にあるのだ。今回はどちらが強いのか、白黒決着をつけるいい機会というわけだ。

ひごっちが加速して坂を登り始める。それにつづくゆーすけ。おれはマイペースで後ろからなま暖かく眺めていると、いきなり黄色のフェルトが宙を舞い、ひごっちのふくらはぎが空を蹴るように高くあがった。ガードレールの向こう側に落ちるのかと思うほどだった。

落車だ。ひごっちの落車を目撃してしまった。

道がゆるやかに右に曲がっていることに気づかず、後方を見るため振り向いたところ、縁石の段差にハンドルを取られたのだ。

損傷を確認する。

ひごっちの手足に擦過傷。ハンドル右グリップが内側に曲がり、ホイールのリムに傷がいくつか。

その場で応急処置をしてリスタートする。

ゆーすけは落車したひごっちの心理状況を読む。

「弱気になってる今がチャンス。やるなら今だ」

オーバーペースをかえりみず、ひごっちに差をつけようと加速をする。しかし30kmのうち、まだ5kmのところ。いくらなんでも早すぎる。

ひごっちはああ見えて狡猾で計算高い。加速するゆーすけにぴったり付き距離を稼ぐ。

そのまま10km以上、ゆーすけの陰に隠れて距離と標高を稼ぎ、ゆーすけの様子をうかがう。

無理をしたゆーすけ。ペースが落ちはじめる。それを見逃さないひごっち。

「アターック!」と大きな声をあげるひごっち。その声は奥多摩の山々に響きわたったであろう。ちぎられるゆーすけ。ふたつの目から流れるのは汗だ。切なさと無力感が溶けた悲しみの汗だ。決して涙ではない。

しかしもう付いていく余力はない。

ゴールの都民の森は気温25℃。ひごっちとゆーすけの戦いはひごっちの勝ち。この決着は乗鞍でつけるといい。

さて、トップグループではなくグルペットの二人だ。

おれは親友のスントくん(心拍計)のアドバイス通り自分のペースをひたすら守る。前回ほど来たことを後悔しなかったので、少しは坂耐性がついたのだろうか。

たかゆきは、はじめての(本当にはじめてのヒルクラで奥多摩に来てるのだ!)登りでペースをつかめず、走ったり止まったり。それでもギブせず最後まで自走してゴールした。すごくがんばった!

彼の雄志はしっかりと写真に写っている。

つづら折りの崖下の橋を、折れそうな心を抱えて登る姿。橋の上に小さくゴマ粒のように見えるのがたかゆきだ。

そしてゴール直前。カメラを構えるおれの前を逃げるように通り過ぎていくたかゆき。

今日の経験は大きな自信になるよ。きっと。

都民の森で補給とトイレ、休憩。

体力の回復を待って、来た道をまた降りていく。下りながら考える。こんなに長く、きつい坂だったのか…。よくこの道、登ってきたな。

反対車線を登るクライマーの苦しむ表情を見る。苦悶する顔の中に恍惚とした快楽を味わう変態たちの集団だ。

途中ひごっちの落車ポイントをみんなで感慨深げに見つめる。

誰からともなく、いや、おれがいいはじめたのだが…、この地点をひごポイントと呼ぶことに決めた。次回からこのポイントを1位で通過したものは、ゴール地点(都民の森)でひごっちにソフトクリームをおごってもらえるのだ。よろしくー!→ひごっち。

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