Feeds:
投稿
コメント

Posts Tagged ‘いもり’

蒼に本当の闇を経験させたかった。そして僕も経験してみたかった。

子育てって、親になった自分が未熟なわが子を育てるというよりむしろ、子どもを通して、自分自身の育て直しをしているように思える。

絵本の読み聞かせもそう。僕は幼少期、図鑑ばかり読んでいて物語り絵本はあまり読まなかった。図鑑を卒業したら、ドラえもんや21エモンなど藤子不二雄さんのマンガに夢中になってしまったため、ほとんど絵本は読まずにすごしてしまった。宿題をし残したまま大人になってしまったのだ。

この年齢になって、いくらこどもの気持ちでぐりぐらやエルマー、ナルニアを読んだところで、それは大人が読んでいるのであって、子どもの自分が読んでいるわけではない。それでも、蒼に読み聞かせをしていると、こちらの語りに蒼が集中して登場人物に感情移入しているのがよくわかる。その反応がおもしろく、僕も場面に合わせて抑揚をつけて読む。気がつくと二人揃って、物語に没入していいたりする。

さて、絵本も大事な体験だけど、それ以上に体験させたかったのが闇。真っ暗闇。東京に住んでいると夜でも街灯や家の明かりもあり、本当の闇に包まれることはない。でも、実はこの闇が想像力の源泉なのではないかと、いつも思う。

ということで、この夏の我が家の目標は「はじめてのキャンプ」(但し、キャンプ場は除く)となった。

奥様の実家が韮崎の自然(野生?)あふるるところで、義理父が登山家ということもあり、僕らは何の準備もせずに帰郷した。義理父は孫との初キャンプということもあり、準備万端スタンバイOK。実家から、車で30分も山道を走ると、山頂の手前に大きな池がある。今夜はこの湖畔というか、池畔でキャンプをするのだ。

この池は、実は知る人ぞ知る場所で、トンボ池としてある方面の方々には有名なのである。いまや貴重なトンボの種がここではのんびりと飛んでいる。大学の先生がここで採集してるらしい。でも生徒にもここは教えていない。謎のトンボ池。

義理父と夕食の準備、バーベキューの支度をしている間、蒼は池でアカハライモリを採っていた。片手に8匹を鷲づかみにして、とれたー!と自慢げである。(イモリもいまや準絶滅危惧種。両生類全般がすごい勢いで減っているのだ!)息子は生き物で遊んでいるときが一番幸せそうだ。

山の夜は早く来るので早めの食事。夕方5時半には焼き始める。全員皿をもって立ち食い。これもいい。普段母親に怒られることを、野外では機能上、やるしかないのだ(笑)

普段は人のいない池だが、この日は先客がいた。犬をつれてた桜井さん。白髪のおじさまである。さっそく蒼が挨拶に行く。釣られて僕も。テントの横に横に犬を寝そべらせ、折りたたみチェアにもたれて本を読んでいた。20年来、毎夏この池でキャンプをしているとのこと。昔は蒼ぐらいのこどもを連れて来ていたが、いまは成人してしまったのでひとりで来てる。奥様はおうちでのんびり。本人は池でのんびり。

あたりが暗くなると、さまざまな動物の声が聞こえてきた。風の音、虫の鳴き声。
街灯もなく、テントの周りの小さな灯りだけが、見える世界すべてだ。

蒼の表情が変わり始めた。緊張感がうかんでいる。モノ音ひとつひとつに敏感に反応する。いちいち何の音か聞いてくる。んで、僕は答える。わからないよー、パパだって、そんなの。

突然、林の向こう側で獣が争う声がする。枝を揺らし、威嚇する声。そして、ぼちゃんと池に落ちる音。義理父が猿か?とひとりごとを言うと、蒼はびびって、テントにもぐりこんだ。

この日は曇り。天気がよければペルセウス流星雨が見られるはずだった。肉眼で見えたら蒼も感動しただろうな。たむらしげるさんの「ながれぼしのよる」みたいな、シチュエーションなんだけどな。

テントから出てきた蒼は、先客さんが天体望遠鏡を出していたのを見て、さっそく質問しはじめる。月の表面を見せてもらい、そのでこぼこさ、立体感に驚いていた。

8時半には、またテントにもぐりこむ。エルマーを少し読んでやると、すぐ眠ってしまった。大人はそれからしばしワインを飲みながら、静かな闇を楽しんだ。

僕は桜井さんと天体の話、とくに木星の衛星エウロパの地質学上の話、生命の可能性など、ふだんできないロマンティックな話をたっぷりと楽しんだ。桜井さん、めちゃめちゃ詳しかったよ。本職はエンジニアさん、化学の専門家さんだった。

深夜かなり強い雨が降り、心配になってテントを出たが、雨漏りもせずなかなか丈夫に僕らを守ってくれた。こんな生地一枚のうすぺっらいものでも、間違いなく我が家なんだよね。不思議だ。

翌日は、山の頂上までハイキング。
蒼は昆虫網をかかえて、山道を登りつつ、ひらひら飛ぶ蝶を見るけると、採集しまくった。
小さい歩幅でしっかり登り歩く。

標高があがるにつれて、空気がひんやりとしてきた。
山の天気は変わりやすく、雲が瞬く間に発生し、雨を降らせ、消える。

僕らが歩く横を、キントウンのような雲が通り過ぎていく。
そして、また晴れる。
自然というのは不思議だけど、楽しい。

石神井に帰ったら、図書館に行こう!
また「はじめてのキャンプ」を読もうな。蒼!

広告

Read Full Post »