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2011.8.19 tobaccojuice 休止前の最後の東京ギグ

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何をどう書いたら、昨夜の音楽体験を記憶しておくことができるのだろうか。

仕事を終えて、電車に乗って、新代田の改札を出て、環7の横断歩道で信号待ちをする。雨の降ったアスファルト。横断歩道を渡り、目の前の白いビルの階段を降りて、受付でチケットを手に入れる。

いつもと同じ。
違うのは、今夜がtobaccojuiceの東京最後のギグであるということ。
8月のライブを最後に、彼らはバンドとしての活動を休止することを発表している。

仕事中の車のなかで何気なく見たツイッターに、誰かがつぶやいていた。

tobaccojuiceが活動を休止

まさかという気持ちと、ついに来たのかという予感。

車を路肩に停め、iPhoneのスクリーンをふるえる指でタッチする。

つぶやきには、公式HPへのリンクがはられていた。

リーダーの大久保さんがバンド活動休止をアナウンスしていた。決定した事実のみを淡々と語り、ベースの脱退をファンに報告していた。

感情を排除したアナウンスの文章。シンプルで事務的な表現が余計、背後の大きな事情を思わせた。

4人でのライブはあと4回。東京最後のギグは8/19新代田FEVER。8月のライブをもって全活動を休止する。

8/3の突然の発表。

おれが行けるのはFEVERだけだ。

2枚の重たい防音ドアを開けて、FEVERの音空間に溶ける。ドラム&ベースの圧倒的な音圧を皮膚で感じる。満員の客が立ち並ぶ。身体をすべりこませるようにして、少しずつ侵入していく。

ステージでは、トレモロイドが演奏していた。

バーカウンターの端から、何度か、松本くんが顔を出していた。缶ビールを持っているときもあった。客の様子を遠くを見る焦点のあわない目でじっと見ていた。

今夜は最高の客の入りだ。200は間違いなくいるだろう。男の客が多い。レコード屋の片隅に生息するヘッドホンゴーストたちが巣から這いだしてきたようだ。

立ち見の会場は、隣の人と肩がぶつかりあうほど密集していた。tobaccojuiceの開演が近づくにつれ、密度はさらにあがった。心地よかった。音楽はやっぱこうでなきゃ。

マリンバ風の楽しげな曲がかかり、タバコが出てきた。

さあ、パーティのはじまりだ。

● ● ●

ギターの音が空間を彩りよく埋めていく。キャンバスにカラフルな絵の具を塗っていくようだ。

ドラムとベースが壁をびりびり震わせながら、強烈な音圧でライブハウスを鼓動させていく。満ちたり、引いたり。波のように行ったり、来たり。

フロントマンの松本くんは、あいかわらず焦点の合わない視点で、遙か遠くを見つめながら歌う。

バンドの音は強烈な一体感を持って、満員の客に放射される。

松本くんが踊る。客を煽る。

メンバーがフレーズごとに顔を見合わせて笑いあう。

リズムがぴったりはまる。

また笑う。

心の底から、音を楽しんでる。

自分たちの12年間の手触りを確かめるように、丁寧にしっかりと音を紡いでいく。

爽やかな覚悟。

こんなに素敵な音楽をつくる、あんなにカッコいい4人組が、音楽をやめるっていうんだぜ。信じられるか?

ほとんどMCはなかった。
休止の理由を話すこともなかった。

でも客のほとんどはわかっているようだ。
理由なんてどうだっていい。

音楽に集中しよう。
この魔法が解けるまでの、あと数十分。
何も考えずに、ただ音楽を楽しもう。

残された時間はあとわずか。
タバコの音楽を浴びるほど楽しもう。

踊ろうぜ
遊ぼうぜ
楽しもうぜ

アンコールの前、松本くんが少しだけしゃべる。

いつも踊らない人も今日はさ
特別なパーティだから
踊って帰ってほしいんだ
最後だからさ
いい思いでつくろうぜ

yeah

ここで感じたことが
明日につながる

ここで感じたことが
未来につながる

この瞬間が
つながってゆくよ

行き先はわからない
帰り道はもうない

行き先は見えない
帰ることはできない

ただ、ここにみんながいて
ただ、ここに音楽があって

ただ、この瞬間をおれたちは楽しもうぜ

12年間の彼らの音楽が、わずか1時間に凝縮された奇跡のようなギグだった。

濃密な光と音と、うねるようなグルーブ。
バンドと客の一体感。

音楽を超えた、もっともっと高いところにみんなで昇っていった。雲を超え、空を超え、星が瞬く世界だ。

音楽の神様。

どうか時間を止めてください。おれたちからこの音楽をとりあげないでください。

2回目のアンコール。
松本くんがもう少ししゃべる。

ありがとう!

そうね。
なんかね、あの、不思議なことに、はじめてのライブみたいです。なんか。

すごい長いこと、みんな、おれたちのことを応援してきてくれた人たちも、最近知って遊びに来てくれた人たちも、いると思うけど、ほんと。

なんか、うん、おれたぶんひとりで、地球上にひとりしかいなかったら、歌とか歌わないから。

みんながいてくれたから、歌とか作れたし。

今こうやって、歌ってるから、なんか。
まあ、ありがとう(笑)

長い人生、もしかしたら明日死ぬかもしれないけど、とりあえず、今この瞬間、まだ中継地点だと思ってるから。

こっから、どんどん、どんどん、みんな楽しんでいきましょう!yeah

● ● ●

3回のアンコールに応えてくれた彼らは、最後に全員で手を挙げ、声援に応えた。

そして、とうとうおれらの前から姿を消した。

でも大丈夫。
きっと。

音楽の神様は、きっとすばらしいエンディングを準備してくれるはず。

また歌い出すのを待ってるぜ!
tobaccojuice

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音霊 OTODAMA SEA STUDIO

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ビルの地下、小さな密室のなかでどかどか音楽を聴くのもいいけど、逗子のビーチで波の音を聞きながらもいいな。木造の黒い柱。小さなステージ。地面は砂。もちろんビーチへの出入りは自由。

ビール片手にゆるゆる過ごす時間は最高だろうな。

今度はすいているときに来よう。

この日はスターダストレビューの根本さんと山弦の佐橋さんによるギターギグだ。セットリストは70年代の隠れた名曲たち。選曲がよかった。

ゲストはチャーさん。

クラプトン、ジェフベック、ジミーペイジのことをしゃべりながら彼らの曲を演奏した。

3人でロックはもちろん、フォーク、ファンク、など多彩な曲を演奏する。ギターってすごい。なんでもできるんだな。

箱の中は風が通らず暑かったが、演奏は楽しめました。

アンコールも終わり外に出る。
海岸を吹く風が爽やか。

コロナを飲み、のどの渇きを癒してから、駅へと歩き始める。

時間が遅く遠いのでビーチでのんびり飯を食えなかったのが心残りだ。

また来よう。

松田が死んだことは、もう忘れよう。

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ダークサイドのtobaccojuice

音楽はいつもハッピーで楽しくて幸せ…んなわけじゃない。

最近のtobaccojuiceはダークなセットリストとアレンジでギグをやってるらしい。息子くんのサッカーが忙しく、ライブハウスに行く暇が全然ないけど、USTで音源見つけて少し幸せです。

ああ、またあの空間で音に溺れたい。

2011.6.19
tobaccojuice
『音の宴vol.1』~ALOHA「うたのゆくえ」ツアーファイナル in 東京~ at 青山月見ル君想フ

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上を向いて歩こう

家に帰ると息子くんが歌っていた。

上を向いて 歩こう

涙が こぼれないように

思い出す 春の日 一人ぼっちの夜 …

ママが台所でご飯を作っている。息子くんは爆丸をいじりながら、何度も何度もくり返し歌っている。

なんでそんな歌しってるの?と聞くと、学童の帰りの会でみんなで歌っているそうだ。今月の歌なんだって。いい曲だよねー。

● ● ●

3/11。大地震と大津波。

東京にいて東北の惨状をネットで見ながら、呆然としていた。原子炉の崩壊と放射能への心配で、家の外に出られず、窓から見る風景もいつもと違った。

そんなときTwitterの音楽好きが教えてくれたのがこの動画だ。ブラジルのPOPシンガー、イヴァン・リンスが、日本のためにカバーで歌ってくれた。

不安、絶望、無力の気持ちがいりまじったあのときのおれに、強い希望を与えてくれた。音楽ってすごいなと素直に思ったよ。イヴァンはあまり日本では知られていないけど、日本が大好きで何度も来てくれている。シンディ・ローパーさんも震災の真っ最中に日本でライブをやってくれた。

あれから2ヶ月たった。

おれたちが何歩、前に進めたのかわからないけど、上を向いて歩いて歩かないとね。

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ライブハウスは音楽の生まれるところ

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音楽が生まれる瞬間が好きだ。
演奏が始まって、聴衆の気持ちに羽が生えて、空高く飛び上がる。
揺れるテンポの中に自分の居場所をみつける。
音楽とみんなとの一体感。

箱は適当に小さいほどいい。
ライブハウスは音楽の生まれるところだ。

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2010.8.18 tobaccojuice GIG at 新宿紅布

オープニングアクトはラキタ。剥げたストラトを抱えてひとり弾き語り。ゆるいチューニングと何語だかわからない歌詞で不思議な空間を作り出していた。

ビートモーターズは、アクセル踏みっぱなしのエンジンが爆音を鳴らすようなサウンド。音の塊が鼓膜を塞ぐ。

さて、Tobaccojuice。

メジャーからインディーズに戻り、ニューアルバム”どこまでも行けるさ”を自主制作でリリース、全国ツアーも手弁当でこなした彼らだが、音はいままでの憂いを感じさせる楽曲は少なく、やんちゃで元気な歌が並んでいた。変わったなあ…というの第一印象だった。

ライブで彼らの音がどう変わったのか?

何も変わってなかった。オレの好きなタバコだった。衣装も気持ちも普段着な彼らが音を出したとき、先に出演していた2バンドにはない、独特の揺れるリズムが紅布に満ちた。客は思い思いの踊り方でリズムを味わい、音の隙間に遊び、完成度の高いメロディーとアンサンブルを楽しんだ。

2杯目のお酒をビールからジンライムに替えて、一口ずつ飲みながらトシマサの歌やMCを聞いた。リラックスした最高な気分だった。

平日の夜、仕事帰りに、夢の世界へ寄り道してから家に帰った。

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ぼぶ音楽祭2010@所沢航空記念公園野外ステージ

野外フェスとかフジロックとか聞くとむずむずする人。でも子どもが小さいしなぁ、時間もないしなぁとお嘆きのパパママにグッドニュース。

なんと所沢航空公園で無料(但しドリンク代は必要)ロックフェスが行われます!参加バンドは地元のアマチュア…ではなく、この音楽不況のなか、小さなライブハウスでたくましく音楽をやってる連中ばかり!

興味ある方は連絡ください!一緒にいきましょう!

2010.9.11(Sat)@所沢航空記念公園野外ステージ
Bob&Carnivals presents『ぼぶ音楽祭2010』

【メインステージ】
Bob&Carnivals
PLATON
OTOUTA
tobaccojuice
and more…

【空中キャンプステージ】
荒川聡(DJ.nightmeeting) × 柿沢健司(tp.from NATSUMEN / frisco / PLATON)SESSION
tickles × 近藤康平(ライブペインティング)

【流しステージ】
ザッキー(モボ / ex.POMERANIANS)

【ワクワクパレードステージ】
ELEKIBASS

【フード】
西千葉cafe STAND
biglietto
ぐうの音

フェスのフライヤー(ちらし)はこちら

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Ovall 柔らかでおしゃれな空気感

Ovall

部屋に溶けこむおしゃれな空気感。
すごくいいです。

CD探してみよ。

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BABY BLUE / Fishmans

HOW TO MAKE A SONG

“BABY BLUE”

佐藤伸治「歌詞はいつもサラサラッと書くことにしてる。サラッと書いてあんまり見直したりしない。自分がすごくバカでダサくて無力な、社会のクズみたいな気分で、とっても謙虚な気分で書くことにしてる。そうやって誰にも見つからないような歌詞を書くのが好き。もうどうだっていいようなこと、紙クズみたいなもん、それを何年もやるのがいい。この曲もそう、もうずーっとおんなじ感じです。ヨロシク」

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Daniel Johnstonという名のキチガイの天才

Daniel Johnstonというのが名前。躁うつ病。ほとんど太ったキチガイ。ピアノはめちゃくちゃ、ギターも支離滅裂。でも彼の音楽は、誰が何と言おうとサイコーにかっこいい。

たまたまオルタナ系のミュージシャン達が彼の曲をトリビュートしたCDを借りて結構いいじゃんと思ってた。もちろんそん時は、Daniel Johnstonのことなんか全然知らなかった。売れない幸薄いミュージシャンの一人だろうなって認識。

ところが、実は彼はいわゆる「紙一重」の人らしく、躁うつ病で入退院を繰り返し、まともな社会生活が送れてなかったらしい。自宅でピアノかギター、鍵盤ハーモニカをかき鳴らして歌を録音し、カセットをいろんな人に送っていた。あきらかに正気ではない人なんだけど、音楽が信じられないほどピュアで、背筋が凍るほど美しい。

ビートルズとジョンレノンが好きなんだろうけど、ジョンの魂が彼のなかで純粋培養されたような、そんな気がした。

音楽って何だろう?ロックって何だろう?

音楽を娯楽として聴いている人にはなかなか理解されないだろうけど、生活のなかで一瞬でも真剣に音楽のことを考えたことのある人なら、きっとDaniel Johnstonの素晴らしさがわかると思う。